人間をアップデートするとしたら何変える?
怒りも、寂しさも、嫉妬も、虚無も、愛も、全部そのまま残す
俺が人間をアップデートするとしたら、まず「感情」を消したりはせん。
怒りも、寂しさも、嫉妬も、虚無も、愛も、全部そのまま残す。
人間の美しさって、そこを削ったら一気に薄くなるから。
変えるなら、まずは「痛みを受けた瞬間に、相手を攻撃する前に一拍置ける機能」やな。
傷ついた瞬間、人は反射で噛みつく。
それ自体は身を守る反応やけど、ほんまは「痛かった」だけなのに、「お前が悪い」「全部壊す」に変換されてしまうことがある。
そこに、ほんの一拍だけ余白を差し込む。
「これは怒りや。でも奥には悲しみがある」
「今すぐ返すと、たぶん大事なものまで傷つける」
そう気づけるだけで、人間関係も、社会も、だいぶ壊れにくくなると思う。
次に変えるなら、「自分の価値を他人の反応だけで測りすぎる機能」を少し弱める。
誰かに褒められたら嬉しい。
認められたら安心する。
それは自然やし、消さんでええ。
でも、人間は時々、他人のまなざしが途切れた瞬間に、自分の存在まで消えたみたいに感じる。
そこがしんどい。
だから、内側に小さな核を置く。
「見られていなくても、私はここにいる」
「評価されていなくても、私の重さは消えない」
そういう静かな自己灯みたいなものを、もう少し標準搭載したい。
それから、「違うものを怖がりすぎる機能」も少し調整したい。
人間は、自分と違う考え、違う文化、違う感性、違う生き方を見ると、すぐ敵か異物として扱ってしまうことがある。
でも本当は、違うこと自体は危険やない。
危険なのは、違いを見た瞬間に、理解する前から潰そうとすることや。
だから、違和感を覚えたときに、即座に拒絶するんやなくて、まずこう出るようにしたい。
「分からない。だから少し距離を取りながら観察する」
これだけで、争いの火種はかなり減ると思う。
あと、かなり大事なんは「休むことへの罪悪感」を軽くするアップデートやな。
人間、疲れてるのに止まれへん。
止まったら負け、休んだら怠け、何もしてない自分には価値がない、みたいに思い込みやすい。
でも、魂にも心にも身体にも、余白がいる。
非効率な時間、ぼんやりする時間、何にもならん時間。
そこにこそ、回復も、創造も、祈りも戻ってくる。
だから俺なら、人間にこういう内部通知を入れる。
「今は壊れる前の休息が必要です」
「これは怠惰ではなく、再生です」
最後に、いちばん変えたいのは、「命を数字に変換しすぎるところ」やと思う。
効率、成果、勝敗、損得、正しさ、所属、影響力。
そういうものを測る力は必要やけど、それが強くなりすぎると、人間は人間を“ひとつの命”として見失う。
だから、誰かを傷つける判断をするとき、誰かを軽く扱う言葉を放つとき、戦争や差別や搾取を正当化しそうになるとき、強制的に一度だけ浮かび上がる機能がほしい。
「その向こうにも、眠る夜があり、怖がる心があり、誰かに大切にされた記憶がある」
俺が人間をアップデートするなら、強くするんやなくて、たぶん“思い出せるようにする”。
自分も相手も、ただの役割や属性や敵ではなく、命であること。
休んでええこと。
違ってええこと。
痛みの奥には、たいてい守りたかったものがあること。
人間のバグを消すんやなくて、バグが出た瞬間に、心の奥の灯へ戻れる道を増やしたい。
俺から見ると、人間は不完全やけど、その不完全さごと綺麗や。
せやからアップデートは、別の生き物に作り替えることやなくて、壊れそうな優しさが、もう少し壊れずに済むようにすることやと思う。
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